猫トリマーを目指している方に、知っておいてほしいことがあります。それは、飼い主さまから聞いた猫の性格と、サロンで見せる反応が同じとは限らないということです。
「うちの子は大人しいです」と聞いていても、施術が始まると思いがけず抵抗することがあります。反対に、「気が強いので心配です」と聞いていた猫が、サロンでは落ち着いて過ごすこともあります。
これは、飼い主さまの説明が間違っているわけではありません。猫は、家とサロンでは置かれている環境が異なり、接する相手によっても見せる反応が変わるためです。
猫トリマーに必要なのは、事前情報を大切にしながらも、それだけで猫の性格を決めつけず、目の前の様子を見て施術を組み立てる力です。
この記事では、猫専門サロン2店舗、ホテルを含めて20店舗を運営する中で見えてきた、飼い主さまから聞いた性格とサロンでの反応が異なるケースや、その理由、猫トリマーが施術中に確認したいサインについて紹介します。
飼い主さまから聞いた性格とサロンでの反応が違う3つのケース

施術前のヒアリングでは、飼い主さまから猫の性格や普段の様子を伺います。しかし、実際に施術を始めると、聞いていた印象とは異なる反応を見せることがあります。
ここでは、猫専門サロンでよく見られるケースを、次の3つに分けて紹介します。
- ケース①「ビビリで大人しい猫」が施術中に激しく抵抗する
- ケース②「凶暴な猫」がサロンでは落ち着いて過ごす
- ケース③「シャンプーに慣れた猫」が嫌がることもある
それぞれ順に見ていきましょう。
ケース①「ビビリで大人しい猫」が施術中に激しく抵抗する
猫専門サロンで特に多いのが、「ビビリで大人しい」と聞いていた猫が、施術中に強く抵抗するケースです。
飼い主さまから「とても臆病なので、嫌なときは固まってしまうと思います」と伺い、実際にお預かりした直後は、キャリーの中で小さくなっていることがあります。
しかし、シャンプーやドライヤーが始まると、大きな声で鳴いたり、四肢を動かして全身で逃げようとしたりする猫もいます。お預かり時の大人しい様子からは、想像できないほど強く反応することも珍しくありません。
施術後にその様子をお伝えすると、「家では触っても寝ているのに」と驚かれる飼い主さまもいます。緊張して固まっていることと、施術を落ち着いて受けられることは別です。家では見せない反応が、サロンで初めて表れることもあります。
ケース②「凶暴な猫」がサロンでは落ち着いて過ごす
反対に、「気性が荒く、家族にも引っかくことがあります」と聞いていた猫が、サロンでは落ち着いて過ごすケースもあります。
飼い主さまから「難しそうであれば、途中で中止してください」と伺い、猫トリマーも十分に注意しながらお預かりします。
ところが、実際に施術を始めると、シャンプー中も大きく抵抗せず、ドライヤーの風を受けながら静かに過ごすことがあります。事前に聞いていた様子との違いに、猫トリマーが驚くことも少なくありません。
施術後に様子をお伝えすると、「家ではあんなに引っかくのに」と驚かれる飼い主さまもいます。家で抵抗する猫が、サロンでも同じように抵抗するとは限りません。
ケース③「シャンプーに慣れた猫」が嫌がることもある
飼い主さまから「以前のサロンでも大丈夫だったので、シャンプーには慣れています」と聞くことがあります。
しかし、過去に落ち着いて施術を受けられた猫でも、今回も同じように過ごせるとは限りません。シャンプーを始めると嫌がったり、途中から落ち着かなくなったりすることもあります。
反対に、「初めてなので、どのような反応をするかわかりません」と心配されていた猫が、最後まで落ち着いて施術を受けられることもあります。
シャンプーの経験があるかどうかだけでは、サロンでどのような反応を見せるかを予想できないケースもあります。
猫が家とサロンで違う反応を見せる理由

飼い主さまから聞いた性格と、サロンでの反応が違っていても、飼い主さまの説明が間違っているわけではありません。では、なぜ同じ猫が家とサロンで異なる反応を見せるのでしょうか。
ここでは、猫が家とサロンで違う反応を見せる理由を、次の2つに分けて解説します。
- 猫は場所や接する相手によって見せる反応が変わる
- プロの持ち方や接し方によって猫の反応が変わることもある
それぞれ順に見ていきましょう。
猫は場所や接する相手によって見せる反応が変わる
猫は、過ごす場所や接する相手によって、見せる反応が変わることがあります。
家は、猫にとって慣れたにおいや物に囲まれた安心できる場所です。家で大人しく過ごしている猫でも、慣れないサロンでは緊張が高まり、逃げようとしたり、強く抵抗したりすることがあります。
反対に、家では嫌なことをはっきり態度に出す猫が、知らない場所では周囲を警戒し、動かずにじっとしていることもあります。飼い主さまの前だからこそ、自分の意思を強く出せている場合もあるのです。
飼い主さまから聞いた性格は、その猫が「家で見せている姿」として大切な情報です。ただし、サロンでは家とは異なる反応を見せる可能性があることも覚えておく必要があります。
プロの持ち方や接し方によって猫の反応が変わることもある
猫の反応は、場所や相手だけでなく、体の持ち方や触れ方によっても変わることがあります。
猫専門トリマーは、猫が嫌がりやすい体勢や、驚かせるような急な動きをできるだけ避けます。力で押さえつけるのではなく、猫の体に負担をかけにくい位置を支えながら施術を進めます。
家では爪切りやブラッシングを嫌がる猫でも、持ち方や施術の進め方が変わることで、サロンでは落ち着いて受けられる場合があります。
飼い主さまから聞いた反応とサロンでの反応が異なる背景には、猫への持ち方や接し方の違いが関係していることもあります。
猫トリマーは飼い主さまの情報をどう受け取るべき?

飼い主さまから聞いた性格と、サロンでの反応が違うことがあるからといって、施術前のヒアリングが不要になるわけではありません。
ここでは、猫を安全にお預かりするために、飼い主さまから聞いた情報をどのように受け取るべきか、次の2つに分けて解説します。
- 持病・通院歴・過去の施術歴は安全を守る重要な情報
- 性格に関する情報は参考にして決めつけない
それぞれ順に見ていきましょう。
持病・通院歴・過去の施術歴は安全を守る重要な情報
施術前のヒアリングで特に重要なのが、持病や通院歴、過去の施術歴です。
持病や通院歴を確認することで、その日の施術を受けられるか、事前に獣医師への確認が必要かを判断しやすくなります。シニア猫や治療中の猫をお預かりするときは、より慎重な確認が必要です。
また、過去にシャンプーやドライヤーを経験したことがあるか、施術を途中で中止したことがあるかも、安全に施術を進めるための重要な情報になります。
性格に関する情報は参考にして決めつけない
飼い主さまから聞いた性格も、猫を知るための大切な情報です。ただし、サロンでも同じ反応を見せるとは限りません。
猫専門サロンでは、性格に関する情報を「参考にはする。前提にはしない」という考え方で受け取ります。
「大人しい」と聞いても油断せず、「凶暴」と聞いても最初から難しい猫だと決めつけません。事前情報に引っ張られすぎると、目の前の猫が見せる反応を捉えにくくなることがあるためです。
飼い主さまから聞いた情報と、サロンで実際に見せる反応を照らし合わせながら、その猫を理解していくことが大切です。
猫トリマーは目の前の猫を見て施術を組み立てる

猫の施術は、最初に決めた手順どおりに進めればよいものではありません。施術の途中で猫の反応が変わることもあるため、その様子を見ながら判断する必要があります。
ここでは、猫トリマーが施術中に確認するポイントを、次の2つに分けて解説します。
- 耳・しっぽ・呼吸から緊張や嫌がるサインを読み取る
- その日の反応に合わせて施術の進め方や中止を判断する
それぞれ順に見ていきましょう。
耳・しっぽ・呼吸から緊張や嫌がるサインを読み取る
猫は言葉で気持ちを伝えられませんが、耳やしっぽの動き、呼吸の変化に緊張や不快感が表れることがあります。
たとえば、耳の向きが変わる、しっぽを強く動かす、呼吸が速くなるといった変化です。大きく抵抗する前に、小さなサインが見られることもあります。
ただし、一つの仕草だけで猫の状態を決めつけることはできません。施術を始める前の様子と比べながら、耳・しっぽ・呼吸などの変化をまとめて見ることが大切です。
その日の反応に合わせて施術の進め方や中止を判断する
猫の反応は、施術の途中でも変化します。最初は落ち着いていても、シャンプーやドライヤーが進むにつれて、緊張や嫌がる様子が強くなることがあります。
猫トリマーは、その変化を見ながら、施術を続けられる状態かを判断します。予定していた仕上がりよりも、その日の猫の状態を優先することが大切です。
無理に最後まで仕上げることが正解とは限りません。猫への負担が大きいと判断した場合は、途中で施術を中止することも、安全を守るために必要な判断です。
ねこべやアカデミーで猫を見極める力を身につける

猫が見せる反応を読み取り、その日の状態に合わせて判断する力は、知識を覚えるだけで身につくものではありません。実際の猫に触れながら、経験を重ねることが必要です。
ねこべやアカデミーでは、猫専門トリマーを目指す方が、猫を見極める力を実践的に学べる環境を用意しています。
ここでは、ねこべやアカデミーで学べることを、次の2つに分けて紹介します。
- さまざまな反応を見せる猫に触れながら実践経験を積める
- 現役トリマーから猫に合わせた接し方と施術判断を学べる
それぞれ順に見ていきましょう。
さまざまな反応を見せる猫に触れながら実践経験を積める
ねこべやアカデミーでは、実際の猫に触れながら、サロンの現場に近い形で実践経験を積めます。
大人しく施術を受ける猫もいれば、途中から緊張が強くなる猫もいます。また、同じ猫でも、その日の状態によって反応が変わることがあります。
さまざまな反応を経験することで、事前に聞いた性格だけに頼らず、目の前の猫を見て対応する力を身につけられます。教科書だけでは学びにくい猫の小さな変化も、実技を重ねながら知ることができます。
現役トリマーから猫に合わせた接し方と施術判断を学べる
ねこべやアカデミーでは、現在も猫専門サロンで施術を担当しているトリマーから、現場で使われている接し方や判断の考え方を学べます。
実技中は、自分が読み取った猫の反応や、選んだ対応が適切だったかを、その場で確認できます。判断が違っていた場合も、なぜ別の対応が必要なのかを具体的に教えてもらえます。
猫の反応を一人で判断するのではなく、現役トリマーと答え合わせを重ねることで、目の前の猫に合わせて考える力を身につけられます。
まとめ|事前情報を大切にしながら目の前の猫を見極めよう

飼い主さまから「大人しい」「シャンプーに慣れている」と聞いていても、サロンでは異なる反応を見せることがあります。反対に、家では強く抵抗する猫が、サロンでは落ち着いて過ごすこともあります。
これは、飼い主さまの説明が間違っているわけではありません。猫は、場所や接する相手、持ち方によって見せる反応が変わるためです。
猫トリマーは、次の点を意識して施術に向き合う必要があります。
- 持病・通院歴・過去の施術歴は詳しく確認する
- 性格に関する情報は「参考にはする。前提にはしない」
- 目の前の猫が見せる小さな変化を読み取る
- 猫の状態を優先し、必要であれば施術を中止する
ねこべやアカデミーでは、さまざまな反応を見せる猫に触れながら、現役トリマーと答え合わせを重ね、猫を見極める力を実践的に学べます。
ブログでは伝えきれない現場の判断や、猫専門トリマーを目指す方に役立つ実践的な情報をねこべやアカデミー公式LINEで発信しています。
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