昔と比べて、飼い主様の意識の向上や獣医療、ペット用品の発展などによって猫ちゃんの平均寿命は延びてきており、とあるペット保険会社の調査によると2022年における平均寿命は14.4歳との報告があります。
長生きする猫ちゃんが増えた一方で、老猫ちゃんに元気でいてもらうためのケア方法や、旅行や入院など、やむを得ず預ける場面での対応に迷われる飼い主様も多くなってきているのではないでしょうか。実際、10歳以上の高齢の猫ちゃんはお預かりが難しいというペットホテルも少なくありません。
そこで今回は、大切な家族の一員である老猫ちゃんと共に元気で暮らすために気をつけていただきたいこと、そしてやむを得ず預ける際のペットホテルの選び方についてお話していきたいと思います。
目次
猫の高齢期はいつから?年齢と見た目・行動の変化を確認

一般的に猫の高齢期は人間の年齢に換算して60歳~65歳に該当する12歳頃からと言われていますが、見た目だけではなかなか老化のサインはわかりにくいものです。年齢の記録があればもちろん参考になりますが、それとあわせて日々の行動や体の変化から、今がどのステージなのかを見極めることが重要です。
- 毛に白いものが混じってくる
- 寝ている時間が長くなる
- 昔よりも歩くスピードが遅くなる
- キャットタワーなどの段差へのジャンプをしなくなる
とはいうものの、見た目や様子だけで愛猫が老猫かどうかを判断することは難しいため、そのような場合はワクチン接種証明証に年齢が記載されているためそちらを確認してください。
老猫ちゃんのお世話をするためのポイント

大切な家族の一員である老猫ちゃんに元気で機嫌よく過ごしてもらうためにはどのようなことに注意してお世話していけば良いでしょうか。ここからはポイントを6つに絞って、それぞれご説明していきます。
①愛猫の体重をこまめにチェックする
毛皮がある猫ちゃんは体重が減少していても見た目だけではわかりにくく、抱っこしてみて体重の軽さに初めて気づいたという飼い主様もいるのではないでしょうか。体重は愛猫の健康のバロメーターの1つであるため、少なくとも月に1回は自宅で体重測定を行うことをおすすめします。
方法としては猫ちゃんが嫌がらなければ、キャリーに入れた状態の猫ちゃんを体重計に乗せて測定し、あとからキャリーの重さを引く方法が最も正確です。今は様々な機能が付いているペット用の体重計も数多く販売されているため、そちらを使用することをおすすめします。
上記の方法が難しければ飼い主様が猫ちゃんを抱っこした状態で体重を測定し、あとから飼い主様の体重を引くという方法もあります。
老猫ちゃんがかかりやすい病気によっては、食べている量は今までと変わらないのに体重が減ったり反対に増えたりすることが症状として見られるものがあるため、体重に大きな変化が見られた際はかかりつけの動物病院に相談するようにしましょう。
②愛猫の健康状態を確認しよう
猫ちゃんも人間と同様に高齢になればなるほど体力や免疫力の低下などによって病気にかかる可能性は高くなります。多くの病気は早期発見と早期治療がとても大切となり、そのためには健康診断を年に1回~2回の頻度で受けてもらうことがポイントとなってきます。
ただ健康診断にもいろいろな種類があるため、愛猫の性格などによってベストと考えられるものを飼い主さんが選んであげる必要があります。
もし、愛猫が動物病院の受診に抵抗やストレスを感じることが少なく、また検査のために夜~翌朝にかけての絶食や日帰りのお預かりなどを行ってもその後の様子に影響がないタイプならば1日コースの健康診断をおすすめします。
多くの場合、このコースでは全身状態をより詳細に把握することができるよう血液検査に加えて超音波検査やレントゲン検査などの精密検査が含まれています。
1日コースが難しい場合は、採血による血液検査と予め採尿していた尿を使用するコースや、採血も難しい場合は尿だけでの健康診断も可能となります。尿だけの場合、画像や血液検査で猫ちゃんの健康状態を確認することはできないため、把握できる異常は少ないかもしれませんが、老猫ちゃんに多い慢性腎臓病の発見には有効です。
③愛猫の状態に合ったフードを与える
中には全年齢対応のフードもありますが、ほとんどのキャットフードは年齢別にそれぞれ必要な栄養素などを調整したものが販売されています。
愛猫が療法食を必要とする場合でないならば、年齢に沿ったキャットフードを与えるようにしましょう。
ただ、いきなり今まで食べていたフードから新しいフードに切り替えることは消化管などに負担をかけてしまう危険性が高いため、今までのフードに少しずつ新しいフードを混ぜていくなどして時間をかけて変更するようにしましょう。
また、老猫ちゃんになると慢性腎臓病のリスクも上昇するため可能ならば水分補給として総合栄養食のウェットフードをメインにすることや、おやつとして一般食のスープなどを与えることを検討してみても良いですね。
④愛猫の毛並みや爪の状態をケアしてあげる
老猫ちゃんになると毛づくろいの回数が減ることで毛がボサボサしてきたり、爪とぎをしなくなるため爪が太くなったりするなどの現象が見られることがあります。
毛づくろいには不要な抜け毛を取り除く、皮膚や被毛を清潔な状態に保つなどといった効果があります。また、太くなった爪は切りにくくなったり、巻いてしまうことで肉球に刺さってしまったりといった危険性があります。
よって飼い主様は愛猫が若いときよりも、よりこまめに毛の様子や爪の状況を観察し、必要に応じて丁寧にブラッシングや爪切りなどのケアを行ってあげる必要があります。
⑤可能な限り愛猫へストレスを与えないようにする
たまに刺激を与えるためといって老猫ちゃんのために子猫ちゃんを新しく迎えることを検討する飼い主様もいますが、これは多くの場合、より老猫ちゃんにストレスを与えてしまうため、おすすめできません。
基本的に猫ちゃんは単独生活を好む傾向が強いため、遊び盛りの子猫ちゃんと急に暮らし始めるという環境はストレスなどによって体調不良を引き起こしてしまう危険性があります。
また、引っ越しや同居人が増えるなどといった環境の変化も大きなストレスとなるため、可能な限り今までと同じ生活を続けていけるようにしてあげましょう。
⑥愛猫にとって快適で安全な環境を整える
程度の差はあれど、ほとんどの老猫ちゃんは関節炎を患っているという報告があります。よって若い時の高さのままのキャットタワーしかないと上りたいと思っても上れなかったり、上り損ねてしまったりなどの可能性があります。
そのような状態を防ぐためにも、スペース的に問題が無ければ少し低めのキャットタワーも一緒に用意してあげることをおすすめいたします。
また、老猫ちゃんは体温を自分で保つ力が弱まっていることも多いため、良く過ごす場所には温湿度計を設置し、冷房や暖房を使用して快適な室内環境を整えてあげるようにしましょう。
もしもの時に備えて:老猫ちゃんを安心して預けられるペットホテルの選び方

旅行や入院など、やむを得ず愛猫を預けなければならない場面は誰にでも訪れる可能性があります。しかし、若い猫ちゃんと比べて老猫ちゃんは体調の変化が起こりやすく、環境の変化にも敏感であるため、預け先選びには特に慎重になる必要があります。
獣医師の立場から、老猫ちゃんを安心して預けられるペットホテルを選ぶ際のポイントをご紹介します。
老猫ちゃんの受け入れ実績があるか
まず確認したいのは、そのペットホテルに老猫ちゃんの受け入れ実績が十分にあるかどうかです。老猫ちゃん特有の行動の変化や体調管理について理解があり、経験豊富なスタッフがいる施設を選ぶことが大切です。
健康状態の確認体制が整っているか
老猫ちゃんは預かり中に体調を崩す可能性もあるため、日々の健康チェック体制が整っているかを確認しましょう。食欲や排泄の状況、普段と違う様子がないかなどをこまめに観察してくれる施設が理想的です。また、万が一の際に提携している動物病院との連携体制があるかどうかも重要なポイントとなります。
健康診断サービスが利用できるか
獣医師としてぜひおすすめしたいのが、ペットホテル内で健康診断を受けられるサービスがある施設です。預かり前や預かり中に簡易的な健康チェックを行ってもらえると、普段と異なる変化を早期に発見できる可能性が高まります。
また、万が一体調不良が見られた際に迅速に対応してもらえる体制が整っているかも重要なポイントとなります。
個々の猫ちゃんに合わせた対応ができるか
老猫ちゃんはそれぞれ持病や投薬の必要性、食事の好みなど個別の事情を抱えていることが多いものです。療法食の対応や投薬管理、温度管理など、愛猫の状況に応じた柔軟な対応をしてもらえるかを事前に相談しておくことをおすすめします。
ストレスの少ない環境が整っているか
老猫ちゃんにとって、慣れない環境で過ごすこと自体が大きなストレスとなります。静かで落ち着いた環境が用意されているか、他の猫ちゃんとの接触を避けられる個室があるかなど、ストレスを最小限に抑える工夫がされている施設を選びましょう。
おすすめ猫専用ペットホテル『ねこべや』の老猫対応サービスについて
獣医師の立場から、老猫ちゃんのお預かりに特に力を入れている施設として、ねこべやをご紹介させていただきます。
ねこべやでは、ここまでお話ししてきたポイントを実践した老猫対応を行っており、豊富な受け入れ実績に基づく丁寧な健康チェック、預かり前後の健康診断サービス、投薬・療法食への対応、そして個室での温度・湿度管理など、老猫ちゃんが安心して過ごせる環境が整っています。老猫ちゃんのお預かりをお考えの飼い主様は、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
よくある質問|老猫ちゃんとの暮らし編
老猫って何歳から?老化のサインは?
一般的に7歳を超えるとシニアに分類され、事実上の老猫期は10歳ごろからとされます。よく寝るようになる、グルーミングが減る、ジャンプを躊躇う、耳が遠くなる、認知障害のような行動が見られる、といった変化は老化サインです。
老猫の食事で気をつけることは?
シニア用の総合栄養食をベースに、消化しやすさと適度なタンパク質を意識しましょう。食欲が落ちてきた子には、ウェットフードや香りを立てるわんさばやし、小分けして与えるなどの工夫も有効です。水をしっかり飲める環境も大切です。
老猫が暮らしやすい環境作りのコツは?
高さのあるジャンプより、段差を緩やかにしたステップや踏み台を用意しましょう。ふかふかで関節に優しい寝床、出入りしやすい低いトイレ、も多、温度差の少ない部屋もポイントです。トイレの位置を採さず、足腰の負担を減らしましょう。
老猫に多い病気は?
慢性腎臓病、甲状腥機能亢進症、肥大型心筋症(HCM)、肨瘍、認知障害、関節炎などが代表的です。上記はより初期だと個体に関係なく思うように進行してしまうため、5ヶ月に1回、6ヶ月に1回の動物病院での健康診断を推奨します。
老猫を預けるときの注意点は?
ストレス耐性が下がり、体調を崩しやすいため、個室タイプで静かな猫専用ペットホテルが安心です。投薬・特別食の対応、獣医療連携、体調モニタリング体制がある施設を選びましょう。かかりつけ動物病院の連絡先と、日頃の記録も事前に共有しておくと安心です。
まとめ

愛猫が老猫ちゃんになっても元気で機嫌よく過ごしてもらうためには、健康状態の把握や適切なフードを与えることに加えて、ケアをこまめに行いつつストレスを与えないようにすると共に適切な環境を整えてあげることが大切です。
また、やむを得ず預ける場面に備えて、信頼できるペットホテルの情報を知っておくことも安心に繋がります。
ぜひ、この記事を参考にして老猫ちゃんの生活を穏やかで満ち足りたものにしてあげてくださいね。

執筆者情報
名前:松本 千聖(まつもと ちさと)
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社での保険金査定業務などに従事。現在は製薬関係の業務に携わりつつ、ペットの健康相談業務、動物関係のライティングに加えてペット用品並びに犬猫の健康記事に関する監修経験多数。なおプライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理実施中。