猫トリマーとして働きながら、「独立したら今より収入を増やせるのだろうか」「自分のサロンだけで生活していけるのだろうか」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、猫トリマーの収入は、雇用・業務委託・独立開業など、選ぶ働き方によって仕組みが大きく異なります。独立後も、施術単価や一日の頭数、経費、予約状況によって残る金額は変わります。
独立すれば必ず収入が増えるわけではありません。希望する働き方でどのように売上が生まれ、何に費用がかかるのかを確認したうえで、リピーターやホテルによる売上まで設計することが大切です。
この記事では、猫専門サロン2店舗、ホテルを含めて20店舗を運営する中で見えてきた、雇用・業務委託・独立開業の収入構造や、サロン単体とホテル併設のモデル試算、収入を安定させるために必要な条件を紹介します。
猫トリマーの給料・報酬は働き方によって変わる

猫トリマーとして経験を積む方法には、サロンに雇用されて働くほか、業務委託として施術を担当する選択肢もあります。
同じ施術を行っていても、給料として受け取るのか、売上に応じた報酬を受け取るのかによって、収入の安定性や自分で負う責任は異なります。
ここでは、独立前に知っておきたい雇用と業務委託の違いを、次の2つに分けて解説します。
- 雇用は収入が安定し現場を学べる一方で上限がある
- 業務委託は歩合で収入を増やせる一方で休業時の収入や保障を自分で備える
それぞれ順に見ていきましょう。
雇用は収入が安定し現場を学べる一方で上限がある
サロンに雇用される働き方は、毎月決まった給料を受け取りやすく、独立や業務委託よりも収入が安定しやすい点がメリットです。
厚生労働省の「job tag」には、トリマーに対応する職業分類の全国平均年収として402.7万円が掲載されています。ただし、猫専門トリマーのみを対象とした数字ではありません。
トリマーが一日に施術できる頭数には限りがあり、施術売上からは家賃や材料費などの店舗経費も支払われます。そのため、施術頭数や指名を増やしても、雇用のままでは給料を大幅に伸ばしにくい構造があります。
一方、雇用期間中は、収入を得ながら次のことを現場で学べます。
- 施術技術と飼い主さまへの接客
- 予約受付からお迎えまでの流れ
- 予約の組み方やスタッフの役割
将来独立したい方は、自分の施術だけでなく、店舗全体がどのように動いているかにも目を向けましょう。
参考サイト:トリマー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
業務委託は歩合で収入を増やせる一方で休業時の収入や保障を自分で備える
業務委託は、施術売上に応じた報酬を受け取る働き方です。担当する頭数や指名が増えるほど、技術や実績が収入に反映されやすくなります。
たとえば、月の施術売上が100万円、歩合率が50%なら報酬は50万円です。ただし、ここから税金や保険料、必要経費を支払うため、そのまま手取りになるわけではありません。
雇用と同じ有給休暇や社会保険が用意されるとは限らず、施術を休めば報酬が減る可能性もあります。契約前には、次の点を確認しましょう。
- 歩合率と報酬の計算方法
- 集客や予約管理、経費を誰が負担するか
- キャンセルや休業時の報酬をどう扱うか
また、業務委託で指名を増やすことと、独立後に自分で集客することは別です。独立を考えている方は、店舗に頼らずお客様を集める準備も進めましょう。
猫専門サロンを一人で独立開業した場合の収入モデル

猫専門サロンを一人で開業すると、施術による売上から店舗の経費を差し引いた金額が、自分の事業所得の目安になります。
ただし、売上や所得は、施術単価や予約数、家賃などの条件によって変わります。独立すれば必ず収入が増えるわけではないため、自分の条件に置き換えて試算することが大切です。
ここでは、一人で猫専門サロンを開業した場合の収入モデルを、次の3つに分けて解説します。
- 月商は施術単価・一日の頭数・稼働日数で試算する
- 売上から家賃・材料費・広告費などを引いて事業所得を考える
- キャンセルや自分の体調が売上へ直接影響する
それぞれ順に見ていきましょう。
月商は施術単価・一日の頭数・稼働日数で試算する
一人で猫専門サロンを開業した場合の月商は、次の計算式で試算できます。
施術単価 × 一日に対応する頭数 × 月の稼働日数=月商
たとえば、施術単価1万円、一日4頭、月22日営業するモデルでは、次のようになります。
1万円 × 4頭 × 22日=月商88万円
ただし、これは毎日4頭の予約が入り、予定どおり営業できた場合の売上です。実際の施術単価や対応できる頭数は、メニュー内容や猫の状態、施術時間によって変わります。
無理なく対応できる頭数と営業日数で試算しましょう。
売上から家賃・材料費・広告費などを引いて事業所得を考える
月商88万円が、そのまま自分の収入になるわけではありません。サロンの運営には、主に次のような経費がかかります。
- 家賃や水道光熱費
- 材料費や消耗品費
- 広告費、予約システム利用料、保険料など
事業所得は、売上から必要経費を引いて計算します。月商88万円、必要経費30万円の場合は、次のとおりです。
月商88万円-必要経費30万円=月58万円
月58万円×12か月=年間696万円
必要経費30万円は説明のための仮定です。実際には事業所得から税金や社会保険料も支払うため、そのまま手取りになるわけではありません。
キャンセルや自分の体調が売上へ直接影響する
一人で運営する猫専門サロンでは、自分が施術した分だけ売上が生まれます。そのため、予約のキャンセルが続いたり、体調を崩して休んだりすると、売上へ直接影響します。
先ほどの月商88万円も、一日4頭の予約が入り、月22日間予定どおり営業できた場合のモデルです。予約が入らない日や休業日が増えれば、実際の売上は試算より少なくなります。
一方で、休業しても家賃や予約システムの利用料などの固定費はかかります。独立前には、予約が満員の場合だけでなく、キャンセルや休業が発生した場合の収支も試算しておくことが大切です。
猫専門サロンにホテルを併設した場合の収入モデル

一人で猫専門サロンを開業したいと思っても、「自分が休んだら売上が止まってしまうのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。
ホテルを併設すると、施術だけに頼らず、猫をお預かりする日数に応じた売上をつくれます。ただし、実際にどのくらいの売上を見込めるかは、客室数や料金、稼働率によって変わります。
ここでは、猫専門サロンにホテルを併設した場合の収入モデルを、次の4つに分けて解説します。
- ホテル売上は客室数・宿泊料金・稼働率で試算する
- 施術時間外にも宿泊日数に応じた売上が生まれる
- サロンとホテルの相互利用が双方の売上につながる
- サロンとホテルを合わせると年間事業所得1,000万円も目標になる
それぞれ順に見ていきましょう。
ホテル売上は客室数・宿泊料金・稼働率で試算する
猫ホテルの月商は、次の計算式で試算できます。
客室数 × 1泊の料金 × 日数 × 稼働率=ホテルの月商
たとえば、客室6室、1泊5,000円、月30日、稼働率50%の場合は、次のようになります。
6室 × 5,000円 × 30日 × 50%=月商45万円
稼働率50%とは、6室のうち平均3室が利用されている状態です。年末年始や連休には稼働率が上がりやすく、通常期には空室が増える可能性もあるため、年間の平均で考える必要があります。
また、月商45万円がそのまま利益になるわけではありません。清掃や見守りにかかる人件費、猫砂などの消耗品費、水道光熱費を差し引き、実際に残る利益を試算しましょう。
施術時間外にも宿泊日数に応じた売上が生まれる
サロンの売上は、基本的にトリマーが施術した頭数に応じて生まれます。営業時間が終わって施術を止めれば、その日の施術売上もそこで止まります。
一方、ホテルは1泊ごとに料金が発生します。トリマーが施術をしていない時間も、猫をお預かりしている日数に応じて売上が積み上がる点が、サロンとの大きな違いです。
ただし、猫を預けてもらうだけで運営できるわけではありません。食事・飲水・排泄の確認や清掃、体調管理が毎日必要です。
サロンとホテルの相互利用が双方の売上につながる
ホテルを利用する飼い主さまから、宿泊中のシャンプーやグルーミングを依頼されることがあります。その場合、宿泊料金に施術料金が加わり、1回の利用による売上が増えます。
反対に、サロンへ定期的に通っている飼い主さまが、旅行や外出の際に併設ホテルを利用することもあります。普段から猫の性格や状態を理解しているサロンであれば、飼い主さまも預け先として選びやすくなるためです。
ホテル利用者がサロンを利用し、サロン利用者がホテルを選ぶ流れが生まれると、2つのサービスが互いの売上を育てる関係になります。
ただし、すべてのお客様が両方を利用するわけではないため、実際の利用割合をもとに売上を見積もりましょう。
サロンとホテルを合わせると年間事業所得1,000万円も目標になる
サロン単体の事業所得を年間696万円とした場合、年間1,000万円を目指すには、ホテルと追加施術から年間約304万円、月平均約25万円の利益を加える必要があります。
年間696万円+ホテル・追加施術の利益約304万円=年間約1,000万円
ただし、サロン単体の試算は、すでに1日4頭を施術するモデルです。宿泊中の施術を追加する場合は、スタッフを増やすか、既存の施術枠に含めて考える必要があります。
猫専門サロン2店舗、ホテルを含めて20店舗を運営してきた経験から見ても、運営体制を適切に設計すれば目指せる可能性はあります。ただし、必ず到達できる金額ではないため、人件費や消耗品費などを差し引いて月約25万円を残せるか、自分の条件で試算しましょう。
猫トリマーの収入モデルを実現するために必要な3つの条件

ここまで紹介した収入モデルは、単価や施術頭数を計算するだけで実現できるものではありません。安定した収入を得るには、猫を安全に施術する力と、お客様に繰り返し利用していただく仕組みが必要です。
ここでは、収入モデルを実現するために必要な条件を、次の3つに分けて解説します。
- 条件①猫に合わせて施術できる技術を身につける
- 条件②シニア猫や持病のある猫へ安全に対応する
- 条件③リピーターを増やして予約を安定させる
それぞれ順に見ていきましょう。
条件①猫に合わせて施術できる技術を身につける
収入モデルの前提となるのは、性格や年齢、体調の異なる猫に合わせて施術できる技術です。
猫の反応を見ながら持ち方や進め方を調整できなければ、予定していた施術を完了できず、一日に対応できる頭数も安定しません。無理に進めれば、猫やトリマーがけがをする危険もあります。
猫が嫌がるサインを読み取り、限界が来る前に施術を組み立てる力があってこそ、猫の負担を抑えながら、その子に必要なケアを提供できます。
条件②シニア猫や持病のある猫へ安全に対応する
猫専門サロンには、年齢や持病を理由に、ほかのサロンで受け入れてもらえなかった猫の相談が寄せられることがあります。
ただし、依頼をすべて受け入れればよいわけではありません。事前に年齢や持病、通院状況、当日の体調を確認し、施術できる状態か、途中で中止すべきかを判断する必要があります。
対応できる猫の幅を広げるには、施術技術だけでなく、無理に受けない判断力と、必要に応じて獣医師へ相談できる体制が欠かせません。
条件③リピーターを増やして予約を安定させる
ここまで紹介した収入モデルは、予約が継続的に入ることを前提としています。新規のお客様が一度来店するだけでは、毎月の施術頭数や売上は安定しません。
リピート率が低いままでは、空いた予約枠を埋めるために広告費をかけ、新規のお客様を集め続けることになります。施術売上が増えても集客費が膨らめば、想定した事業所得を残しにくくなります。
施術後には猫の状態を丁寧に報告し、その子に必要なケアの時期を根拠とともに案内することが大切です。お迎え時に次回来店まで提案する仕組みを整えることで、予約と売上を見通しやすいサロンへ近づけます。
ねこべやアカデミーで独立後も続く猫専門サロンの経営を学ぶ

独立に必要な力を身につけるには、技術を学ぶだけでなく、実際の店舗運営に基づいた収支の考え方や、開業後に相談できる環境まで確認することが大切です。
ここでは、ねこべやアカデミーの学びとサポートを、次の2つに分けて紹介します。
- 現役トリマー・獣医師・20店舗の運営経験から独立に必要な力を学べる
- 自分の条件に合わせて開業後の収支を試算し卒業後も相談できる
それぞれ順に見ていきましょう。
現役トリマー・獣医師・20店舗の運営経験から独立に必要な力を学べる
ねこべやアカデミーでは、それぞれの分野を現場で担当している専門家から、独立に必要な力を学べます。
- 猫に合わせた施術技術は、現役の猫トリマー
- 受け入れや施術中止などの安全判断は、獣医師
- 価格設定やリピート、ホテル併設などの経営は、20店舗の運営事例から
それぞれの専門家が、現場での経験をもとに指導する点が特徴です。
自分の条件に合わせて開業後の収支を試算し卒業後も相談できる
開業後の収入は、家賃や施術単価、営業日数、ホテルの客室数などによって変わります。
ねこべやアカデミーでは、希望する働き方や開業規模に合わせて、売上・経費・事業所得を具体的に試算します。必要な施術頭数やホテルの稼働率を確認できるため、目標とする収入を得るために何が必要なのかを開業前に整理できます。
卒業後も、実際の予約状況や経費が想定と異なる場合には相談が可能です。開業前に作った計画で終わらせず、店舗の状況に合わせて収支を見直しながら、経営を続けていけます。
まとめ|猫トリマーの収入は働き方と開業前の設計で変わる

猫トリマーの収入は、雇用・業務委託・独立開業など、選ぶ働き方によって仕組みが異なります。独立後は月商をそのまま収入と考えず、経費を差し引いた事業所得で考えることが大切です。
今回紹介した金額は、一定の条件を置いたモデルケースです。施術単価や予約数、家賃、ホテルの稼働率などを自分の条件に置き換え、開業前に無理のない収支を試算しましょう。
施術技術や安全判断、収支設計をまとめて学びながら独立を準備したい方は、ねこべやアカデミーの説明会で、学習内容や卒業後のサポートをご確認ください。
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